What Japanese Tatami Rooms Can Teach Us About Living More Freely
The English column has been updated. The Japanese column can be found below.
日本の畳の部屋が教えてくれる、もっと自由な暮らし方
日本の多くの家も、世界の住宅と同じように、用途ごとに部屋が分かれています。
リビングは家族で過ごす場所、寝室は眠る場所、キッチンは料理をする場所。
わかりやすくて快適、そして効率的です。
でも、ふと思うのです。
もし、部屋の使い方がもっと柔らかくて、決めつけられていなかったらどうでしょうか。
少し空白をゆるす空間だったら、もっと暮らしは自分に寄り添うものになるのではないかと。
日本の伝統的な住まいには、畳の敷かれた「和室」と呼ばれる空間があります。
この部屋には、大きなベッドや動かせないテーブル、壁に固定されたテレビなどはありません。
家具は最小限で、必要がなければしまっておける。
そこにあるのは、呼吸するような余白です。
時間や気分に合わせて、その部屋は姿を変えます。
朝は家族とご飯を食べる場所に、昼は静かに本を読む場所に、夜はお客様のための部屋にもなります。
ときには、ひとりになりたいときの小さな避難所にもなります。
この柔軟さは、空間の節約ではなく、自分の状態に寄り添ってくれる安心感なのだと思います。
畳の部屋は、今のあなたに合わせて、ただそこにいてくれるのです。
日本でも、こうした使い方をしている家庭は少数派かもしれません。
多くの人が「一部屋一用途」で暮らしているのが現実です。
それでも、この国にはもともと、空間に自由をゆるす文化がありました。
今だからこそ、その発想をもう一度思い出してもよいのではないでしょうか。
もし、家の中に使われていない部屋があるなら、
そこを「誰かのためにとっておく部屋」ではなく、
「今の自分が過ごしたい時間のために使う場所」として考えてみてください。
今日、あなたはどんなふうに過ごしたいですか。
静かに座っていたいのか、ごろんと横になりたいのか、音楽を聴きたいのか。
その気持ちに、空いている部屋はこたえてくれるかもしれません。
日本から伝えたいのは、あるデザインやインテリアのかたちではありません。
空間と自分の関係を、少し問い直してみる姿勢です。
その日そのときの自分に合った空間をつくってみるという小さな選択が、
暮らしをしなやかにしてくれるような気がしています。
空間は、あなたの答えに耳をすましています。
暮らしの中に少しだけ余白をゆるしたとき、
そこから新しい日常が動き出すかもしれません。


